2018年は10月の収穫時でも気温が下がらず、早熟品種のリンゴは腐敗が早く大変だったようですが、一方で、晩熟品種は、11月に急に寒さが訪れたため、リンゴの成熟を待てるだけ待った結果、最後の収穫日がクリスマス翌日とりました。これは例年より1ヶ月も遅く、極めて稀な年のようです。
手前にある赤黄色のリンゴ「ジュリエナ」は食用品種で、甘さが特徴の晩熟品種
※普段は大きさがこれの1・5倍ほど、夏から冬にかけて常に水不足だったため小ぶり
右手にある黄色いリンゴ「ルネマルタン」はシードル用の品種で、震え上がるくらい酸味が強い
※ジュリエナ同様、実が小さく凝縮しているので、例年よりも甘味がある
奥中央の小ぶりの赤いリンゴ「サンマルタン」はシードル用の品種。甘みと渋みが特徴
※主にアルジルに使われることが多い
これらはもうすでに1週間木箱に入れ天日干ししていて、その後屋根裏部屋が涼しければ、約1ヶ月間陰干しを行います。※屋根裏の室温が高い状態で陰干しするとリンゴが腐りやすいため、屋根裏の陰干しは涼しいときに行い、反対に温かいときは天日干しを重視するようです
さて、昨今フランスのヴァンナチュールにおいて、ぶどうとはまた異なる個性を持ったシードルが注目されており、また近年のぶどうの収量不足もあり、シードル造りがワイン生産者の身近になってきているようです。
弊社取り扱いのレ・カプリアードのパスカル・ポテールも収量不足の緊急事態に備え、トゥールから北へ約50キロの農家から果樹を調達し、試作段階ではありますが、シードル、ポワレを造っています。ノー・コントロールのヴァンサン・マリーは出身地ノルマンディの郷土飲料であるシードルをデビュー当初から造りたいと思っており、昨年リリースに至りました。(ちなみに彼はジュリアンからシードル造りのアドバイス得ていたそうです)またノルマンディ、ブルターニュ、バスクのリンゴ産地では、ヴァンナチュールと同じ思想を持ったシードルリーが徐々に増えているようです。
歴史を紐解けば19世紀後半にフィロキセラによりぶどう栽培が追い込まれたときに、リンゴの果樹園が増えたようで、ぶどうとリンゴの密接な相互関係はその頃から続いているようです。どちらも身近な果樹でアルコールに適していますからね。
また日本においてもリンゴ産地のワイナリーがシードルを造るケースも増えており、現在約70ヶ所以上で製造されているようです。ここ1~2年でシードルの書物も続々出版されており、まだまだ伸びそうな勢いです。
これまでのシードル=甘くて飲みやすいイメージから、リンゴそのものの香り、糖分、酸度、渋み、旨味にフォーカスした本格派が増えたことにより、気軽な味わいのものから、高い表現力を持ったものまで、シードルはバラエティに富んだお酒へとステージを変えています。また低アルコールかつ、手頃な価格で手に入り、アペリティフ、食中酒、デザート、食後酒とオールマイティに楽しめるお酒ゆえ、世界各国で躍進を遂げているのだと思います。
広く、深いシードルの世界。
と、その中でもやはりジュリアン・フレモンが造るシードルは、素朴な味わいながら異彩を放っています。リンゴの果実感が濃く、皮や芯の味と旨味がしっかり感じられ、リンゴをそのまま閉じ込めたかのような「芳醇なリンゴ感」にいつも驚かされます。豊かな甘み、酸味、渋み、旨味が渾然一体となった、低アルコール類で最高の表現力を持ったお酒ではないかと思います♪
フォール・マネル(ジュリアン・フレモン)のポイント
◎1765年から続く伝統のある生産者。当主ジュリアン・フレモンは5代目
◎昔ながらの土着品種
- クセがあったり、甘みが強い、酸が強いなど、はっきり個性のある品種をシレックスとアルジルの土壌ごとに植樹し、りんごは複数ブレンドし仕込まれる
※写真をご覧いただくとお分かりになると思いますが、リンゴは手のひらサイズで小さいです
(シレックス、アルジルのラベルに写真が描かれています)
- りんごは樹齢が高く(150年以上の樹齢もある)凝縮感が強いが、収量は少ない
- 牛(食牛:リムーザン系)との共生により、畑の微生物が豊か
◎リンゴは基本屋根裏で陰干し(時により天日干し)
- 250年の屋根裏での陰干しにより、微生物が豊富で、1ヶ月間の屋根干しにより、リンゴの水分が抜け、醗酵してクシュクシュになり、エキスがギュッと凝縮した状態でプレスされる
◎昔ながらの大樽使用
- 40hL、60hLの大樽(もしくはファイバータンク、小樽)で醗酵開始
- その後澱引きを繰り返し、ブレンドして、So2無添加で瓶内醗酵
- 瓶内醗酵6ヶ月+αを経てリリース
今回2017年が3種類入荷です!
全体的に例年より少し力強い印象です。
爽やかなシレックス、ねつとりアルジル、滋味深いパー・ナチュール、
春野菜と共に春のやわらかい日差しの中で飲めたら、もうルンルンです~♪
ジュリアンのシードルの旨さに250年の歴史あり!!
どうぞお味見ください~☆
コート・デュ・ローヌ、アルデッシュ地方の「ドメーヌ・レ・ドゥー・テール」がいよいよ初来日いたします!
今回の来日にあわせ、2017年の新ヴィンテージを中心に11種類、温めていたワインを一挙にリリースいたします!
2017年は霜や雹害の直接的なダメージは免れたものの、開花時期の結実不良により、特にグルナッシュは実付きが悪く、大幅な収量減となってしまいました。しかしながらブドウは良く熟し、ボリュームがありながらもきれいな酸が残り、バランスのとれた味わいに仕上がっています。
また今回の目玉でもあるJAJA2018年は、前回2016年の初リリースでは瓶熟1年経過した状態でのリリースとなりましたが、今回は本来のコンセプトであるプルムール・スタイルでのリリースとなります!今の時点で味わいにまとまりがあり、文句なしの美味しさです~♪
2018年は近年続いた不作の反動のせいか、ブドウの房数にも恵まれ、2014年以来の大豊作となりました♪
今回のリリースはJAJAのみですが、今後続々と入荷いたしますので、どうぞお楽しみに☆
さて、異なる 2つのテロワール と2人の異なるヴィニョロン の融合 が「 ドゥー ・テール」 の由来となっていますが、まず2つのテロワール「リュサス(マニュエル所有)」「ミラベル(ヴァンサン所有)」と、2人の作業についての特徴をご紹介させていただきます。
~畑がdeux(ドゥー)!!~
◎リュサスの畑
【特徴】
・標高350mの平地にある畑
・雨が多く、保湿性が高い。それ故ミルデューの病害になりやすい
・吹きおろしの北風が強い
・ミラベルに比べて気温が低い
(リュサスとミラベルはわずか3kmしか離れていないが、最大で6度ほどの気温差がある)
【土壌】
・60%バザルト(玄武岩)で、目詰まりの強い、硬く重みのある黒石が表土に点在している
・40%マルヌ・カルケール(泥土状石灰質)
・バザルト土壌は火山の火砕流の堆積により形成され、畑の北側に多く見られ、南に行くに従ってマルヌ・カルケールになる
【味わい】
・フレッシュで、果実味がみずみずしく、清涼感のあるワインが出来上がる
◎ミラベルの畑
【特徴】
・標高350mの穏やかな斜度にある畑で、最高地点のモン・フルーリーは標高400m
・乾燥しているため、オイディウムの病害になりやすい
・北風はほどほど
【土壌】
・アルジロ・カルケール(石灰粘土質)で、白く薄い石灰岩が表土に点在している
・「プティ・ブルゴーニュ」と呼ばれる良質な土壌
【味わい】
・ストラクチャーのしっかりしたワインができる
・保温性が高く、特に暑い年はボリューム豊かなワインになりやすい
単一のテロワールで造られているワインもありますが、両方に作付されているグルナツシュ、メルロー、カリニャンは、その年のブドウのポテンシャル、収量、状態により、ワインのコンセプトに合わせて、リュサスのフレッシュ感のあるブドウと、ミラベルのボリューム感のあるブドウを混ぜて仕込んでいます。(つまり年によってブレンドが変わります)
~ヴィニョロンがdeux(ドゥー)!!~
◎共同の作業
・それぞれが所有する畑をメインに管理しながら、助け合いながら作業を行う
・8月の収穫前にワインの方向性を2人で決定
・瓶詰め、リリースは2人でチェックし決定。万全の状態でリリース。
◎マニュエルの作業
・収穫日、収量とブドウのコンディションを踏まえ醸造の準備
・醸造
◎ヴァンサンの作業
・収穫日決定、収穫準備
・収穫
お互いのリスペクトと、厚い信頼関係があって出来上がるドゥー・テールのワイン。
2つのテロワール×2人の知性×感性の掛け算から、これからも多様性、創造性豊かなワインが生み出されていくことでしょう。
今後もドゥー・テール唯一無二の「掛け算ワイン」にぜひご期待ください!
キーワードの「deux(ドゥー)」をどうぞお忘れなきよう♪
ドメーヌ・ポンコツが、今年も3月上旬にリリースされます!
今年もリリースアイテムは3種類。
名前は前回と同じですが内容が少しずつ違いますので簡単にご紹介いたします。
(詳細は生産者紹介のページをご確認くださいませ)
おやすみなさい2018
休息というエリアの畑が地主さんへ返還しなければならなくなったため、大幅に生産量減となってしまった・・・新たに塩山の小屋敷というエリアのヴィニフェラが少量入っている。
製法は、先に巨峰系をプレスし発酵させ、そこにヴィニフェラのプレスを合併、残糖分が適切な値となるまで待ち、瓶詰。以降瓶内発酵。味わいは前年よりもほんのり甘口で優しい味わいに仕上がっている。
まどぎわ2018
前回は透明感のあるピュアで伸びやかな白ワインだったのに対し、今回は一転スパイシーで複雑な味わい。発酵中の甲州とデラウェアに、あとから収穫した甲州と少量のソーヴィニヨンブランとシャルドネを房ごと浮かべ、ほのかな MC と醸しのニュアンスを付与し、香り高く仕上げている。
jalopy2018
今年はデラウェアに加えて、ピノグリとプチマンサンを少量使用。製法は、醸し終盤のデラウェアにピノグリを房ごと漬け込み 3 日後にプレス。その際に一緒にプチマンサンも房ごとプレスしている。前年よりもろみの温度を下げることができ、健全な状態で醸しを行うことができた。
ヴィンテージの影響もありふくよかさのある味わいだが、少量しか入っていないヴィニフェラが良く効いていて、冷涼感のある香りと酸があり、今までで一番伸びやかな味わい。
ドメーヌ・ポンコツも今回で4回目のリリース。
松岡氏は新たなチャレンジを続けながらも、着実に前を向いて進んでおります!
是非ご賞味下さいませ♪
コート・デュ・ローヌ、アルデッシュ地方の「ドメーヌ・レ・ドゥー・テール」が記念すべきドメーヌ設立10周年となる2019年に初来日いたします!
マニュエルとヴァンサンが最初に出会ったのは1998 年。
ミラベルにある農業学校の同級生だった二人は意気投合し、いつか⼀緒にワイン造る約束を交わし、決意を胸にそれぞれ旅立ちました。
その後マニュエルは、コトー・デクス・アン・プロヴァンスにあるドメーヌ・グロージュの醸造責任者として働き、ヴァンサンもマニュエルの推薦で、同ドメーヌの栽培責任者として働くことになります。
2004 年、マニュエルがドメーヌ・グロージュを退職し、ヴァール県サン・マキシマンにあるドメーヌ・デファンの醸造栽培責任者として働き始め、同年にヴァンサンも同ドメーヌを辞め、同じくサン・マキシマン付近にあるドメーヌ・トリエンヌ(デュジャックのジャック・セイスとDRC のオベール・ド・ヴィレーヌがスタートさせたドメーヌ)の醸造栽培責任者として働き始めます。
お互いのドメーヌが近く、元々交流が深かったことから、必然的に毎⽇顔を合わせるようになって行きました。そして2008 年、マニュエルがヴァンサンにドメーヌ⽴ち上げのプロポーズをし、⼀⾜先にアルデッシュに戻り3 ha ほど畑を購⼊し、2009 年にはヴァンサンもアルデッシュに戻り、⽗親が持つ畑5 ha を引き継いで、ドメーヌ・レ・ドゥー・テールがスタートしました。実に約束から10年以上の時をを経て2人は夢を叶えたのです。
裸一貫ではじめたマニュエルとヴィニョロン家系だったヴァンサンが⼆⼈三脚で経営するドゥー・テール。マニュエルがリュサックに所有する畑はバザルト⼟壌で、ワインに繊細な果実味とミネラリィな味わいを与えると同時に、通年涼しい⾵の流れる標⾼380 m の台地からキレのある酸が特徴のワインが⽣まれます。一方ヴァンサンが所有するミラベルの畑は、⽯灰質・粘⼟質⼟壌で、果実味が凝縮したボリューム豊かなワインに仕上がります。
ドゥー・テールのドメーヌ名には、2 つの異なるテロワールと、2人の知恵の融合、そんな思いが込められています。それぞれが単独で別々のワインを造るのではなく、2人で知恵を出し合って、一緒に1つのワインを造り上げるスタイルこそがドゥー・テールの最大の特徴であり、ワインの最大の魅力になっていると感じています。(こんなドメーヌはそうそうありませんよね)
出会ってからドメーヌを始めるまで10年、ドメーヌを初めてから10年、彼らは既に20年の付き合いになります。持ってる畑も、見た目も、性格も違う二人ですが、お互いが主張しながらも尊重し、認め合える、強い信頼関係で結ばれています。2つのテロワール、2人の個性が融合し、凝縮されたワインは、どれも一体感があり、絶妙なバランス、かつ見事なコストパフォーマンスです!そしてゼロ・ゼロですが味わい、コンディション面もきちんとフォローされているところもgood point!
チャキチャキでぐいぐい引っ張るマニュエル(小柄の方)と、物腰柔らかく穏やかなヴァンサン(大柄の方)のナイスなコンビが造り出す、親しみやすくも高品質なワイン。2人のワインは今後さらにレベルアップし、美味しくなっていく可能性を秘めています!
なおワインは2月末の来日にあわせ11種類リリース予定となっております。
ラインナップは当HPで後日更新いたします。どうぞご期待くださいませ~♪
※試飲会情報はこのページ内中断よりご覧くださいませ
女が愉しむお酒とおつまみ (P255)
ブラッセリー・ド・ラ・ピジョンネール
ユヌ・ビエール・ナッシュ
ご紹介者:平野由希子様