写真は、ドメーヌ・オヤマダ/BOW!の西山デラウェアをプレス機に投入しているシーンです。
ペイザナでは、今年も無事にデラウェアの収穫を迎えることができました。
しかしここまでを振り返ってみると、なんとも変な天候でした。
まず春の高温。これによってその後の生育ステージが全て早くなりました。
スタートの生育が早くても、収穫に向かうにつれ例年のペースに戻っていくのが通常ですが、
今年は発芽、誘引、着色とすべて10日前後早くなっています。
次に雨の降り方。ここ数年では、春先は大して降らず、梅雨入りしても大して降らず、
梅雨後半に雨が少し強く降ってさっさと明け、秋に一番降る、という傾向だったように思います。
ですが今年は、梅雨前に連日雨が降りベト病に対して身構えていたところ、梅雨入りすると全く降らず、あっという間に梅雨明けし、一旦安心したところで強い雨が短いスパンで降るという、防除のタイミングを計るのが難しい降り方でした。
このように天候に振り回された年ですが、ペイザナのデラウェアはほぼ何の問題もない、美しいブドウを収穫することができました。
デラウェアに関しては今年は「良年」と言えるでしょう。
結果として、8月までの雨量は例年よりも少なく、台風の直撃を受けなかったこともあり、
防除回数は例年より少なくすみ、収量も例年通りあって、最も重要な熟度は申し分ありません。
この後の収穫も、例年より前倒しで予定しています。
山梨は9月末の日向ヴィニフェラ赤で最後、全体では洗馬の10月下旬の収穫で全てのブドウを切り終えます。
連続して発生している台風が気がかりですが、あと1ヶ月何事もなく乗り切れば今年はかなり良い品質のブドウが期待できそうです。
写真は6月下旬の日向の様子です。
こちらの日向の畑は、まわりが林に囲まれているため動物や虫が多く、それらへの対策は必要ですが、見事に南東を向いた斜面で日中は日当たりが良く、夕方の日は当たりにくいという、立地的に優れた畑で、ブドウは熟しつつも酸を確保できます。
品種は、ムールヴェードル、シラー、タナ、シュナン、カベルネフラン、プチマンサンを主体に、サンジョヴェーゼ、フルミント、サヴァニャン、トゥルソー、バルベーラなども少しずつ植わっています。
まだ山梨での適性が判断されていない品種も多く植わっており、実験的な意味でも大きな役割が期待される畑です。
さて、関東甲信地方では6/29に梅雨明けが発表されました。これは2017年が7/19、2016年が7/28に梅雨明けだったことを考えると異常に早く、観測史上初の出来事です。
これで春からの生育の早い傾向も続くこととなり、現時点では例年よりも早い収穫が見込まれます。
これ程までに例年と違う気象条件となると、例年通りの対応という訳にはいかず、生産者の経験と感覚が重要となってきます。
何はともあれ新梢管理のピークは乗り越えました。
8月の中旬にはデラウェアの収穫がスタートしま す。
このまま青空が続き、無事収穫を迎えられることを祈ります。
写真は松岡氏が今年から管理している、狐原(きつねっぱら)の畑です。
狐原は、住所でいうと勝沼町上岩崎の畑ですが、
道の反対側は下岩崎といった立地。
日川という笛吹川の支流沿いで、はっきりとわかる河岸段丘の一段目にあり、
二段目は民家が多いのですが、この一段目はほとんどがブドウ畑です。
元々勝沼という場所は山から流れる河川によって作られた場所で、
この狐原がのっている河岸段丘もそうやって作られたものだそうです。
勝沼の周りは、北は大菩薩山系、東から南にかけては黒岳をはじめとした
富士・御坂山系の山々が連なります。
それらの山々から流れる河川群によって形成された複合的な扇状地や河 岸段丘が、水はけのよい土地を形成し、
内陸性の気候も相まって果樹栽培に適した地域となっています。
「勝沼」の名前でひとくくりにされることが多いこの土地ですが、
ワイン用ブドウの栽培という観点で観察すると非常に複雑で面白い土地です。
河川によって作られた扇状地と河岸段丘。
東西南北様々な方向を向いた緩斜面。
川からの距離で異なる土壌。
これらの非常に複雑な要素が入り混じったのが勝沼というブドウ産地なのです。
この狐原のブドウはどのキュヴェに入るかは決まっていないようですが、
どんな特徴を持ったブドウなのか、収穫が待ち遠しいです!
写真は3月上旬に初リリースとなるドメーヌ・ポンコツ「まどぎわ」のラベルです。
今回初リリースとなる『まどぎわ』は、勝沼町小佐手地区のデラウェアと甲州をメインに、甲府市善光寺のデラウェアも使用した白のスティルワインです。
松岡氏は2017年、新たにデラウェアと甲州の畑を取得しましたが、『ジャロピー』は今後ヴィニフェラの比率を上げていく計画のため、ジャロピーとして仕込むのではなく、基本に立ち返るつもりで白のスティルワインを造ろうと決意し、この『まどぎわ』が誕生することになりました。
『まどぎわ』という興味を引く名前には、
「ドメーヌ・ポンコツは主流を追うのではなく、隙間に収まるような存在で良い。
窓際にいて、主流を眺めているだけで良い。」という思いが込められています。
松岡氏曰くこの『まどぎわ』は、「3年越しのご挨拶」とのこと。
確かに『まどぎわ』の中には「緩い酒質, ワインを汚しすぎない, 独自性」というドメーヌ・ポンコツらしさといったものが、落ち着いた酒質の中にも感じることができます。
巨峰のペティアンと、デラウェアの醸しという、ある意味そのジャンル自体が個性的な2種のワインでのスタートとなったドメーヌ・ポンコツにとって、他者と比較され易い白のスティルワインというジャンルで「らしさ」を表現できたことが、「3年越しのご挨拶」という言葉につながったのかなと感じます。
『まどぎわ』は、何か特別な香りがするわけでも、大げさななにかがあるわけでもありませんが、まっとうな、でも自然体で無理のないところが魅力的です。
松岡氏の「ドメーヌ・ポンコツらしさ」の表現を、是非お楽しみください。
写真は、BOW!白でメインの畑の西山です。
季節は冬。当たり前ですが葉は一枚もありません。
剪定を待つ冬の畑も、これはこれで美しいですね!
そしていよいよ2017年のリリースが間近となりました!
2017年の山梨は、春から7月にかけては極めて順調に推移しました。
5月6月の雨量はなんと平年比の半分前後。そんな流れに期待をしていたら、
大事なデラウェアの成熟期の8月に雨が降り、約10年ぶりにデラウェ アの実割れが問題となり、収穫では選果を必要とする畑もありました。
赤品種に関しては、その後の天候の回復が9月にかけて続いたため、健全でそこそこの熟度の確保に成功。10月は数度の台風上陸があり、すでに収穫を終えていた山梨は問題ありませんでしたが、洗馬は影響を受けました。
このように2017年は8月の雨が目立ちましたが、ブドウの熟度としては中程度のものを得ることができています。BOW!白については、2016年ような凝縮感はありませんが、酸の残った伸びやかで優しい味わいに仕上がっています。
そんな2017年のワインが、オヤマダ、ポンコツそれぞれからリリース!
ドメーヌ・オヤマダ/2月中旬リリース予定
– BOW!(白)2017 デラウェア主体
– BOW!(赤)2017 カベルネフラン、MBA主体
ドメーヌ・ポンコツ/3月上旬リリース予定
– jalopy2017(醸し) デラウェア主体醸し
– おやすみなさい2017(ロゼ泡) 巨峰、ピオーネ主体
– まどぎわ2017(白) デラウェア、甲州
中でもドメーヌ・ポンコツの「まどぎわ」は、今回初リリースとなります。
松岡氏が基本に立ち返るつもりで仕込んだこのワインは、シンプルな中に
ドメーヌ・ポンコツらしさが詰まった素晴らしい仕上がり!
名前の由来やワインの詳細は、左枠の「ドメーヌ・ポンコツ」ページより、
ぜひご覧下さいませ♪