真剣モードのボールナール親子。
(フィリップは腰を引いてるため、かなり小柄に写っています..)
この日のテーマはピノノワールの熟成方法について。
ステンレスタンクで熟成をするトニーに対し、フィリップが「ピノを樽で熟成させた方が良いのでは?」とアプローチ。ストレートな果実味が好きなトニーは、果実を活かすために樽熟ではなく、ステンレスタンクで寝かせるのがベターだと思っている一方、フィリップは樽で熟成させまろやかにすることでより美味しくなると熱く語っています。
トニーは独立しているとはいえ、実際はまだフィリップとPere&Filsの関係で働いているのは確かです。息子の考えを尊重しつつも、自分の経験に基づいた的確なアドバイスをしてあげたいフィリップの親心と、我が道を進みたいトニーの想いが交差するボールナール家の日常。でもこんな日々のカーヴでの会話が、きっと2人のかけがえのない空間なのでしょうね。
ちなみに二人の間に写っている甕が「イタリア製のアンフォラ(厚い土器)」で仕込まれた2016年のサヴァニャン。この年はその他にフィリップ特注の「完全セラミックの卵型タンク」、地中に埋められた「ジョージア製のアンフォラ(薄い土器)」と3つの異なる容器でサヴァニャンをマセラシオンして仕込んでいます。同じ区画、3種の異なる容器で仕込まれたワインをそれぞれ単独リリースする予定で、それぞれの味わいが実に興味深いです♪
(その他サヴァニャンのペット・ナット「Ca va Bien」もあるようです)
打って変わって2017年ヴィンテージは春の遅霜の被害により、トニーは収穫できるブドウがそれなりにあるようですが、フィリップは大変厳しい収穫状況のようで、赤白各1キュヴェずつしか仕込めないようです。
そのため2016年ヴィンテージはより手塩にかけて、少しずつ大切にリリースしていくようなので、どうぞその時が来るのをじっくりお待ちくださいませ。
今回フィリップからサヴァニャン2種、トゥルソー2種、そしてプルサールのペット・ナット「タン・ミュー」が久しぶりのリリースです!
トニーは10月リリース予定となります!
ボールナール家からまったく目が離せません☆
写真はケヴィン・デコンブの畑です。
今年は昨年収穫が間に合わず仕込めなかった標高の高いマルシャン村の自社ブドウと、昨年のヌーヴォーに使用したレーニエに隣接するブドウ(写真の畑)も順調です♪
品質的に酸のエレガントなマルシャン村のブドウと、骨格豊かなレーニエに隣接するブドウをアッサンブラージュし「例年以上にハイレベルな・ヌーヴォーを造る!」とケヴィンは意気込んでおり、今からどんなワインが出来るのかワクワクします!
今年は北からまさかの南までフランス全域で遅霜の被害があった中、ケヴィンをはじめ、カリーム・ヴィオネ、ジャン・フォワヤールの3者とも幸いなことに遅霜から免れ、理想的な滑り出し♪開花もスムーズに終わり、7月初旬は冷えたものの、総じて猛暑日が多く、ブドウは例年より1ヶ月ほど早いペースでたいへん順調に成長しています。
しかし季節の変わり目、特に暑さが増す今時期にこの地方では毎年といって良いほど雹害にあうため、まだまだ安心できません。
(7月10日にカリームのランシエ村、ムーラン・ナヴァンで雹害を確認 被害状況の詳細は次回のレポートにて)
それと雨によるミルデューの繁殖、猛暑による日照りも懸念があります。
ただそれでも現時点ではまだ質・量共にアドバンテージがあると思います。開花日から起算すると、今年は8月の終わり、遅くとも9月早々の収穫開始となり、例年より2~3週間の醸造期間が得られるため、その分出来上がりにも期待がもてます!そして何より生産者がタイトなスケジュールから少しでも開放され、精神的にゆとりを持ってワイン造りをしてもらえることが何より大きなメリットになると思います。
ヴァンクゥールの「ボジョレー・トリオ」が気合十分で挑む
「ボジョレー・ヌーヴォー2017」に乞うご期待くださいませ!
写真はスペイン・カタルーニャ地方「マス・ベルトラン」が所有するヴィエーユ・ヴィーニュのチャレッロの畑です。土壌は一見白く見えるため石灰質土壌かと思いきや、実際は砂まじりの粘土質。チャレッロはこの粘土質土壌と暑い気候に適しており、今回リリースの上級キュヴェ「アルジラ」はこの樹齢60年を超すチャレッロ100%で造られています。
※「アルジラ」はカタルーニャ語で「粘土質」の意味
今回リリースの「アルジラ2011」は58ヶ月の瓶熟成を経てデゴルジュマンを行っており、チャレッロ特有の滋味あふれる渋みと、心地よいほろ苦味、はっきりとした酸、そして熟成感と繊細で深みのある泡の質感が見事に調和しています!穏やかなアタックから、集中力の高い味わいに引き込まれ、飲むごとに魅了されていきます♪
一方の「バルマ2013」は32ヶ月熟成を経ており、その充実感、完成度は近年稀に見るレベル!芳醇な果実のアロマと香ばしい風味、骨格とスケールをもたらす、潮気を帯びたミネラリティ、熟成からくる旨味のまとまり。申し分ないです♪
どちらもドザージュなしの辛口で、ブドウの風味、個性が冴え渡ります!
さてバルマは今回から(アルジラはタイミングが間に合わず次回から)
DO Penedès「Clàssic Penedès」としてリリースされることになりました。
DOカヴァは従来地域ではなく「製造方法(泡)」に対する認証で、同じ醸造所で、DOカヴァで認定する品種以外のワインと、カヴァを一緒につくってはならならい条件があり、彼らは、土着品種で絶滅危機にある品種「スモイ」で2010年からロゼスパークリングを造り始めたため、これが抵触しDOカヴァが申請できなくなってしまいました。
そのような変化の中で、より品質の高いスパークリングを造る生産者たちが相次いでDOカヴァを抜け、DOペネデスに呼称変更する流れが派生し、マス・ベルトランはより品質の高い泡造りを目指す他の生産者たちと共に働きかけたこともあって、2014年より、DOペネデスの中で新たなスパークリング認証「Clàssic Penedès」が誕生しました。
「Clàssic Penedès」と記載できるには、基本の条件が3つ
①100%オーガニック
農法までを条件にしているのは世界初!
②100%ペネデス地域のブドウを使用
カヴァでは認められていない土着品種など使用可!
③瓶熟成期間が最低15ヶ月以上
カヴァの9ヶ月以上より半年長い、最低15ヶ月以上!
彼らが選んだ、クオリティへの信念と土着品種回帰を形にした「Clàssic Penedès」が、今後のスペイン・スパークリングの道を切り開くと信じて疑いません!
(その意識は他国にも影響を及ぼすことでしょう)
スペイン・スパークリング新時代の幕開けを、今回のマス・ベルトランで
ぜひ実感してくださいませ~!
2003年1月。
すべてはドメーヌ・デ・ボワルカの新井順子さんとの出会いから
ヴァンクゥールのストーリーは始まります。
私はそこで当時ボワルカの醸造責任者であったパスカル・ポテールと共に働かせていただくご縁をいただきました。右も左も分からず飛び込んだワイン造りの世界、フランス語もままならない自分でしたが、パスカルはそんな自分をまるで即戦力のように必要としてくれて、そのことがたまらなく嬉しくて、自分はその期待に応えたい一心でひたすら働らきました。
自然と対峙するパスカルの穏やかさと強さに見守られ、一歩ずつ、少しずつ、できることが増えていく喜びをかみしめ、心地よいプレッシャーと責任とともに、また一つ学んで積み上げていく感覚。すべてが充実し満ち足りた時間でした。
ほぼ時同じくして、ヴァンクゥールの創業メンバー4人は出会います。
パスカルはヴァンクゥールがその運命的な出会いを果たす、ルーツを知る数少ない生産者です。いや仮にパスカルと出会うことがなければ、このストーリーすら存在しなかったのかもしれません。パスカルはそれだけ自分たちの人生に深く作用した、掛け替えのない生産者なのです。
パスカルと出会ってから早十数年。2005年のドメーヌ独立から、現在はスティルワインの生産をやめ、自身のヴィニョロン人生を「泡のあるワインの世界」に見出し、共同経営者でコマーシャル担当のモーズとともに、まだペティアン・ナチュレルでは主流ではないメトード・アンセストラル製法で、「新次元・最高峰」のクオリティを目指しています。
その圧倒的な仕事により「テロワール」「洗練」「キメの細かい泡立ち」「熟成」のすべての要素が、ペティアン・ナチュレルとしては規格外のレベルで表現されています。彼らの行き着くところ、魂が揺さぶられるような感動の「泡のヴァンナチュール」を、スティルワインと同じように造りたいのです。スティルワインと同様に、その年のブドウの状態がすべてではありますが、年を重ねるごとに着実に精度は上がっていることが今回のリリースからも実感していただけるかと思います。
先駆者クリスチャン・ショサールのペティアン・ナチュレルに磨きをかけた、
メトード・アンセストラル製法から生れる、
新次元のペティアン・ナチュレルここにあり!!
いざ「レ・カプリアード」来日です!!
パスカル&モーズの来日直前メッセージ、ぜひご覧くださいませ♪
今もこうして彼らと繋がり、仕事をさせていただけていることに、
最大限の喜びと感謝の思いを込めて・・
日本市場のヴァンナチュールの繫栄を、自分たちの今を、彼らに伝えたい。
つぶらな瞳で、優しい笑顔が印象的な、「ノーコントロール」のヴァンサン・マリー。しかし腕には立派なタトゥー、耳には三連ピアス、そう、ヴァンサン・マリーはロックをこよなく愛するヴィニョロンなんです♪
※写真のポスターには「ROCK’N’ROLL! SAVE YOUR SOUL」の文字が!
そんなロック命のヴァンサン・マリーですが、根はものすごく真面目で、努力家。ヴィニョロン同士の飲み会でも深酒することなく、明日に備えて睡眠を取る「コントロール」の利くタイプなんです。点在する5haの畑をほぼ一人で切盛りしており、健全で力のあるブドウを育てるために、良いと思ったことは徹底的に実践し、とにかく良く働く。そんな彼の仕事っぷりに周りのヴィニョロンも一目置いているようです。
ヴァンサン・マリーのこだわりはHPにも表れています!
情報が分かりやすく網羅され、しかもかっこいい。
ナチュール生産者のHPではなかなかお目にかかれないレベルではないかと。
http://www.vin-nocontrol.fr/fr/
⇒「Où trouver nos vins?」のA l’étranger内に【JAPON】発見♪
彼は仲間たちとワインサロンを企画するほど、熱烈なヴァンナチュールのファンだった経緯があります。ワインを先入観なく感じることは大事ですが、自身が飲み手だった頃の経験から、情報は「記憶とイメージ」「自分と飲み手」をつなぐ大切なツールだと考えているようです。
今回4種類初リリースです!
ビュレット ・ダン・タ・テット201 5(ロゼ泡)
ガメイ90%、シラー5%、ミュスカ、シャスラ5%
初めて造った、瓶熟18ヶ月以上のやさしい泡立ちのペティアン。
ロカイユ・ビリー2015(赤)
ガメイ・ド・ボジョレー50%、ガメイ・ド・オーヴェルニュ50%
隣接した樹齢50年の異なるガメイをアッサンブラージュし、生き生きとしつつ、
深みのある味わい。
トゥールノエル・ライオット2015(赤)
ピノノワール100%
名水地で有名なヴォルヴィック村のDomaine sous Tournoelの借畑で造られる、
ヴァンサン・マリー唯一のピノ。
ラ・クゥレ2015(赤)
シラー80%、ガメイ・ド・オーヴェルニュ20%
セレクション・マサールの若木のシラーと、樹齢80年のシラー&ガメイの混植・混醸で造られています。
※オーヴェルニュは、同じ畑に複数オーナーがいることが多く、まとまって畑を購入することが難しい産地で、このワインが唯一の自社畑となります。その他は借畑ですが100%自分で畑管理をしています
頭角を現しているどころか、既に世界中から注目されているヴァンサン・マリー。
精密な「ノー・コントロール」は自由と開放を手にし、彼もまた、オーヴェルニュのヴァンナチュール・シーンを語る上で、欠かせない人物になっていくことでしょう♪
Rock with you!