写真は11月1日、朝7時の洗馬(赤)収穫前の一枚です。
例年では10月最終日曜日の収穫となりますが、今年はカレンダーのずれ込みで初の11月収穫となりました。
前日に初霜を観測し、収穫前に霜が降りたのは2015年以来2度目のこと。
絨毯のような野草は収穫当日も霜をまとい、朝日に照らされたブドウ畑のコントラストは、
まるで絵画のような美しさを醸し出しています。
洗馬の畑は昨年のような台風の影響はなく、10月の天候は特に安定していたのですが、
収量、糖度共にあともう一歩といったところだったようです。それでも年を重ねるごとに早生と晩生を分けて収穫・仕込みを行ったり、洗馬の中でも一番ポテンシャルが高い、通称「洗馬スリー」と呼ばれる3番目の区画の成長が随所に感じられたりと、今年も楽しみは尽きません。
収穫を終えた畑はブドウ樹の藁巻きと剪定の冬支度に入ります。
今年の冬はラニーニャ現象により特に冷え込む予報が出ていますが、洗馬のブドウたちにとっては絶好の休眠期となりそうです。
当日は梅雨らしい雨の中での作業となりました。
今年の入梅は例年より3日遅い6月11日頃となり、また梅雨明けは7/20前後と例年並みの予想となっていますが、極端に早まる可能性もあるそうです。
ここまでの山梨の天候は1月~3月中旬は例年より暖冬で、3月後半~4月にかけてはやや低め、5月~6月は例年並みの推移となり、雨量はやや多い年となっています。
またこのまま行けば収穫時期は例年並み、収量は昨年と同等か少し上回る予測となっています。
今回作業を行った大久保の畑にはプチマンサン、ムールヴェードル、少量ルーサンヌが谷沿いの南斜面に植えられています。プチマンサンとルーサンヌはデラウェア主体のBow!白の補助品種として日向のプチマンサン、シュナンと共にブレンドされています。
プチマンサンはニュートラルでありながら熟すと蜜感が強く、フランスのスッド・ウエストではパスリヤージュの甘口ワインも造られています。蜜のような果実感がありながら酸が落ちることはなく、前半のボリューム感から徐々にソリッドな印象へと変わって行きます。Bow!白には約20%プチマンサンがブレンドされていますが、瓶内で熟成して行くに連れてプチマンサンの存在感が増し、その個性がワインにメリハリ与えていると感じます。
暑さに耐え、雨にも割と強く、樹勢の強いプチマンサンは、現在小山田氏をはじめ多くの日本生産者が注目している品種のため、これから作付けが増えて行くのではないでしょうか。ちなみにBow!白に極わずかにブレンドされるルーサンヌはジュースの時点で紅茶のようなアロマがあり、小山田氏はこの品種に対しても関心を持っています。
いつもと変わらない葡萄畑の風景。
その生命エネルギーに触れるだけで心は安らぎ満たされていきます。
ワインを通じて行われる葡萄畑のエネルギーと人の循環。
そこから生まれる喜びのシンパシーに思いを馳せながら、今年のワインの完成を楽しみに待ちたいと思います。
ドメーヌ・ポンコツが、今年も3月上旬にリリースされます!
今回リリースのトピックスは、初リリースとなるN・Gノンガス2019!
本来巨峰主体のスパークリングの「おやすみなさい」となる予定でしたが、発酵が止まってしまい、ロゼワインとしてのリリースとなりました。
「泡なし=N・Gノンガス」という、ストレートで、少し自虐的なネーミングがなんとも松岡氏らしいです(笑)
ちなみにラベルの猫は松岡氏の愛猫のような、でも少し違うような、「そもそもなぜ猫なのか?」はデザイナーの方のみぞ知るとのことです。
ワインは予定外の結果となりましたが、味わいは上々の仕上がりで、巨峰 のジューシーでふんわり甘い果汁感にヴィニフェラ系 品種が複雑で奥行きを与 えています。
◎2/10時点、瓶内発酵無し
◎残糖3~4g/L
仮に再発酵した場合 2~3気圧の軽いペティアン程度のガス圧 になります。安全のため要冷蔵扱いでお 願いします
N・Gノンガスはあくまでイレギュラーで、「おやすみなさい」としてのリリースを念頭に醸造しているため、今回が最初で最後になる可能性が高いです。(そう願いたい気持ちもあります)
とはいえ、N・Gノンガスの個性もとっても魅力的~♪
是非ご賞味下さいませ!
梅雨時期の長雨と激しい台風に見舞われた2019年ヴィンテージも、
10月26日の洗馬赤の収穫を持って締めくくりとなりました。
雨による病気や実割れなどの直接的な被害はさほどなく、
ブドウは総じてきれいで、例年よりやや少し若い状態での収穫となったようです。
洗馬の畑には様々な品種が植えられており、ブドウの成熟スピードや、ポテンシャルに差があったとしても、
結果的にそれらがワインに多様性や深みを与え、また時間を掛けて渾然一体となっていきます。
2019年は例年より少し軽めでチャーミングなワインが出来上がりそうですが、
洗馬の畑が持つキャラクター、品格は今年も変わらずに反映されて行くことでしょう。
どのようなヴィンテージだったとしても、オヤマダの洗馬は洗馬なのですから。
そして洗馬のワイン名が「Ça va?」に変わります・・! ※写真参照
飽きたわけでも、奇をてらったわけでもありません。
2018年 10月に施行された原産地表示基準により、ラベルに 地名を明記する場合は当地を含む隣接した市町村内で醸造することが義務付けられることになりました。これによりドメーヌ・オヤマダの洗馬( 長野・塩尻)は山梨で醸造されるため、ワイン名として「洗馬」の使用ができなくなり、今回のリリースの白2018から、洗馬をフランス語の「 Ça va? (元気)」と掛けて 命名することとなりました 。
※今回リリースの赤は2017年ヴィンテージとなり、新基準施行前に瓶詰めされているため、洗馬のままとなります
畑の場所、ワインのコンセプト はこれまでとまったく何も変わりません。
この気さくな名前に、しばらくは少し違和感があるかと思いますが(笑)、
お飲みいただければいつもの「洗馬」のまま であることを感じ取っていただけると思います。
その他、スパークリング祝2018、万力2018が12月リリース予定となります。
乞うご期待ください!