写真はレ・ボンヌ・ブランシュの対岸に位置するアンジュ・ノワール (Anjou Noir)と呼ばれる、黒いシストが剥き出しの岩山です。
アンジュ地方のテロワールには「アンジュ・ノワール」 と「アンジュ・ブラン」の 2 種類 があり、ノルマンディーに水源のあるサルト川(アンジェ北部でロワール川と合流し、その数キロ先でマイエンヌ川と合流しメーヌ川となり、再びロワール川本流に注ぐ)に沿って(左)にアンジュ・ノワール、(右)にアンジュ・ブランの土壌は位置し、またアンジェ市街南部も同様にレイヨン川に沿って、おおまかに左右に分かれています。
アンジュ・ノワールは、母岩が大西洋側アルモリカ山塊のシスト土壌、その中でも火成岩のシストが長い年月をかけ熱と圧力により変成作用を受けた黒色片岩(黒シスト)で構成されているため、 出来上がるワインは骨格のある力強いミネラルが特徴となります。
一方、アンジュ・ブランはソーミュールなどで、パリ盆地最西端の石灰質土壌で構成され、ミネラルの質もアンジュ・ノワー ルに比べると繊細な特徴となります。
モスの畑は全て アンジュ・ノワールに属し、あとは表層の土壌の性質によ って、いくつかのキュヴェに分かれて造られています。
◎レ・ボンヌ・ブランシュ
表層の粘土が浅く、ブドウの根が直ぐに母 岩届くため、出来上がるワインはシストの影響をダイレクトに受けやすい。ワインの特徴としては、粘土がふくよかな果実味、母岩が筋肉質な骨格を与える。暑いミレジムでも、骨格のあるミネラルのおかげで、アルコールの重たさを感じさせない。
◎サヴニエール・アレナ
上記産地から北に10キロ、ロワール川の岸から150mほど、一番標高の高い場所に位置し、父ルネが異なるテロワールを求めて2002年に植樹。他の畑とは表層が大きく異なり、風化してできた砂の風成砂丘土壌で水はけが良い。また表層は1mもない。特徴としてはミネラリーで、砂地がエレガントな果実味、母岩が筋肉質な骨格を与える。
◎ル・ルシュフェール&マリー・べナール
レ・ボンヌ・ブランシュよりも少し高い丘に面した場所にあり、表層は鉄分を多く含んだ粘土質が分厚く、石英(クオーツ)が混じる。ワインの特徴は、粘土がふくよかさ果実味とボリューム、石英がアロマティックな香りや繊細なミネラルを与える。マリー・べナールは樹齢が高く根が深いため、さらにそこに母岩のシストから来る筋肉質な骨格が加わる。
それぞれ柑橘や白い花のニュアンス、丸みのあるテクスチャと鉱物的なストラクチャが特徴となり、近しい構成となっていますが、エキスの集中力と活力にはっきり違いが表れており、とても興味深いです。
ぜひ今回リリースの2018年で味わいの違いを感じてください♪
なお樹齢77年のマリー・ベナールは今回2015年がリリースとなります!
その他今回モス初となるマセラシオンの「オーフェルマルス」、グロローノワール50%、グロローグリ30%、ガメイ20%の今までないタイプの軽快な赤ワイン「ル・グロ」が初リリースです☆
ロゼ泡のムサムセット、シュナン、カベルネの新ヴィンテージもお見逃しなく~!
アニエス&ルネのエスプリ、そして2人が築いた揺るぎないアンジュのテロワールワイン。
それをベースにジョゼフ&シルヴェストルの新たなチャレンジによってモスのワインは変化を遂げています!
新たに植樹したサヴァニャンやネゴスのチャレンジはワインの見識と可能性を広げ、また2021年完成予定の新カーヴでは、ドメーヌワインの質を更に高めるため長期熟成にシフトするなどの構想があるようです。
彼らの新たな感性が更に凝縮された、モスの未来が楽しみでなりません!
ジョゼフ&シルヴェストルによる「新生ドメーヌ・モス」に今後もぜひご注目ください~!
2020年2月に来日するドメーヌ・モスのシルヴェストル(左・次男)、アニエス(中央・母)、ジョゼフ(右・長男)のスリーショットです♪当主ルネはフランスでお留守番ですが、今回の来日では2014年からワイン造りを引き継いだ、2人の息子による現在、そして未来のドメーヌ・モスの魅力にフォーカスしていきます。
ドメーヌ・モスの軌跡
◎ルネ(アニエス)
トゥール市内でバーを兼ねたワインショップ を経営時取引先のワイン生産者に感化され、1993年にショップを閉めてヴィニョロン転⾝を決意!
1994年:アンボ ワーズの栽培醸造学校に通いワイン造りの基礎を学ぶ
※当時教壇に立っていたクリスチャン・ショサールとの交流がはじまる
1995年:学校を卒業し、ポワティエから 30 km北東にあるボセイ・シュール・クレーズ村にあるワイナリーに勤務
1996年:初めて ワインを仕込む
1997年:ブルゴーニュ研修
※フランソワ・ミクルスキ、ドミニク・ドゥラン、フレデリック・コサール等から精⼒的にワインを学ぶ
1999年:ジョー・ピトンが奨めてくれたサン・ランベール・デュ・ラティ村にあるドメーヌを引き取り、
妻のアニエスと2⼈でドメーヌ・モスを設立
2011年:縁が巡り巡ってヴァンクゥール取引開始
◇ルネのワイン造りのコンセプト
・きれいな完熟ブドウの収穫にこだわる(故にポテンシャルが高く、残糖が残りやすい)
・早飲みではなく熟成とともに真価が発揮されるワイン造り
・異なるシュナンブランのテロワールを極限まで引き出す
ルネとの最初の出会いは2003年に行われたピュズラ主催のプライベート試飲会でのこと。
当時からひときわ貫禄があり、チョイ悪・強面の印象で、話し掛けるがやっとな感じでした(笑)ただそれから会うたびに会話を交わすようになっていく中で、彼は決して曲者ではなく、チャーミングで暖かく、繊細な面を持った人柄であることが分かり、ワインは元より彼の人間性に惹かれ、次第にモスのワールドにのめり込んでいきました。出会いから取引に至るまで、今思えば必然的な流れだったように感じています。
ワインも彼らの人柄と同様に、一見すると鋭く力強い印象ですが、懐が深くじわじわ染み入るような味わいがあり、飲むごとに心地よく包まれていくような感覚があります。
◎長男ジョゼフ
1989年生まれ 30歳
2010年:パリのレストランDeux amisの立ち上げを手伝う。同時にモスの手伝いを開始
2014年:チリのワイナリーで研修後、モスの従業員となる
2018年:ドメーヌ・モスを引き続く
※2010年~2014年まで毎年ブルーノ・デュシェンで収穫を手伝う
◎次男シルヴェストル
1991年生まれ 28歳
2009年:高校卒業後にモスの手伝いを開始
2010年:ボーヌの職業高校で醸造栽培を学びながら、2年間シャソルネイで研修
2013年:イギリスのレストランで働いた後、モスの手伝いを再開
2015年:パリのシャトーブリアンで働いた後、モスの従業員となる
2018年:ドメーヌ・モスを引き続く
◇ジョゼフ&シルヴェストルのワイン造りのコンセプト
・ブドウの味わいで収穫日を判断(総じてルネよりも早い)
・ポテンシャルよりもエレガントで辛口な仕上がり
・早くから楽しめるが超熟にも耐えうるワイン
力強くエネルギッシュなワインを造るルネと、ピュアでしなやかなワインを造る息子たち。
現時点では早くから楽しめる気軽なワインになった印象ですが、
今後新カーヴ移転と同時にドメーヌはテロワールを引き出し、従来のピュアな仕上がりを目指しつつも熟成期間を長くすることでダイナミズムを備えたスタイルへとシフトし、一方ネゴスは品種の特徴を活かした造りを行っていくようです。
センスと感度抜群の2人が描くモスの未来が楽しみでなりません♪
なおワインは2月の来日にあわせ9種類リリース(初リリース2種含む)予定となっております。
11月10日に行われたド派手なパーティはヴァンサンを愛する人々で大賑わい!
昨年8月に完成したノー・コントロール新カーヴのこけら落としパーティが行われました♪
写真はヴァンサンが得意とするパンクをバンドメンバーと熱唱している様子です。
ラモーンズや、フランスのパンクを10曲ほど、感情をむき出しにシャウト!
とてもワインの生産者には見えません(笑)
そして会場には彼と親交のある生産者が勢ぞろい!
弊社取引先のボエムのパトリック、ガングランジェ、ドレイヤーをはじめ、ブルーノ・シュレール、パトリック・メイエーのアルザス時代の研修先の巨匠、ヴァンサン・トリコ、ラルブル・ブランなどの地元組、フィリップ・ジャンボン、ババス、ミロワールなど、ヴァンナチュールのドリーム・チーム的メンバーがワインを持ち寄って集結!実に30人以上もの生産者がお祝いに駆けつけたそうで、参加した村木曰く、ヴァンサンの交友関係の広さ、そして人望の厚さが伺えるパーティだったようです。
生産者はワインサロンさながらにスタンドを設け、ビジターをおもてなし。
まるで毎年2月にロワールで開催される「アノニム」のような熱気とライヴのグルーヴ感にボルテージは上がる一方で、宴は明け方まで続いたそうです。
新カーヴの場所はミネラルウォーターで有名なボルヴィックににあり、建物はオーヴェルニュ地方のシンボルである休火山「ピュイ・ド・ドーム」をモチーフにデザインされています。環境との調和を意識し た木造建築で、屋根の部分の黒い色は玄武岩、土台のベージュ色は花崗岩とテロワールを表現し ています。内部は大きく3部屋構造で、最も広い醸造件ストック部屋、熟成部屋、そして試飲部屋に分けられ機能的に設計されており、ヴァンサン曰く空調設備はないものの、夏と冬の外気の影響が少なく、ワインの醗酵と熟成の温度が格段に安定し、ワインの出来上がりに今まで以上の手応えを感じているそうです。
今回新カーヴで仕上げられたワイン2種類が初お目見え♪
ボジョレー産とオーヴェルニュ産の異なる産地の2つの「ガメイ・ド・ボジョレー」がリリースです!
※ノー・コントロールは、ボジョレー産とオーヴェルニュ産の「ガメイ・ド・ボジョレー」、そしてオーヴェルニュ産の「ガメイ・ド・オーヴェルニュ」があります
◎セー・ベ・ジェー・ベ 2017(50%)-2018(50%) 1L /ボジョレー産のガメイ・ド・ボジョレー
今回初リリースの1L ワイン!
ブドウはネゴスだが、畑はヴァンサンが所有。
2017 年にヴァンサンがボジョレー南の Theizé(テゼ)にガメイの畑 2ha を取得し、その 畑の管理をボジョレーの新鋭 ラファエル・ ベイサングに任せ、ブドウの一部をネゴスとして買い入れています。
当初プリムール的にリリ ー ス する予定でしたが、なかなか発酵が終わらず、翌年の2018 年をアッサンブラージュしても終わらず、最終的にマセラシオンを終えた 2018 年ラ・クゥレのシラーのマールに 1 日漬け込み、約 1 年半かけてやっと発酵を終わらせることができました。そんな苦労を微塵も感じさせない、ピュアで艶やかな果実感があり、心をくすぐられる味わいです♪
ワイン名は「 C ‘est Bon le Gamay du Beaujolais(ボジョレーのガメイは美味しい!)」の単語の頭文字を略したCBGB と、ニューヨークにあったパンクの聖地であるライブハウス「 CBGB」を掛けています!
◎マグマ・ロック2018 /オーヴェルニュ産のガメイ・ド・ボジョレー
2018年は収量、ブドウの品質共に恵まれた、まれに見る当たり年!
ヴァンサン曰く「この収量を手狭な旧カーヴで仕込んでいたらワインの置き場がなく、外で醸造しなければならなかった。豊作を新カーヴで迎えられたことは本当にミラクルで神様がくれたご褒美!」と語っています。
全てのブドウが均一に完熟した年で、一体感とポテンシャルがあり、現時点の若い段階でも粗さがなく、とても滑らか♪この2018年の味わいが彼の目指すマグマ・ロックのほぼ完成形とのことです!
ユーモアと誠実が混ざり合い、プラスのエネルギーに溢れたノー・コントロールのワインは、
ヴァンサンの人柄そのままです。
カーヴが変わり、今後のワインの品質にますます期待が膨らみます♪
ノー・コントロールのワイン、ぜひあらためてご注目ください~!
9月19日撮影 アレックスの「ブルイィ」の収穫風景です!
今回ジャン・フォワヤールの収穫のタイミングに合わず、アレックスの畑の投稿となります。
朝7時、地平線から昇る朝日が向かいのコート・ド・ブルイィの丘を神々しく照らしています。
この日は絶好の収穫日和となり、収穫されたブドウは痛みがなく綺麗で、果汁にも恵まれたようです。
2019年のボジョレーは総じて糖度・酸度のバランスに優れた、充実感のあるワインに仕上がりそうです♪
ジャンのモルゴン、アレックスのブルイィ共に畑由来の力強い骨格が特徴ですが、フォワヤール家伝統の低温から始まるマセラシオンにより、ワインはどちらも香り高く、気品のある味わいに仕上がります。艶やかで緻密なワインを造ることが信条の彼らにとって、2019年はまさにど真ん中とも言えるヴィンテージでしょう。惚れ惚れするようなワインの完成が今から待ち遠しいです♪
そして・・
いよいよボジョレー・ヌーヴォー2019の解禁日まであと1ヶ月余りとなりました!
3生産者ともここまで順調そのものです♪
目まぐるしく変わる天気に翻弄された2019年も無事に収穫を終え、現在は瓶詰めに向けて最終段階に突入です!
◎カリーム・ヴィオネ
今年新たに入手した「サン=テティエンヌ=デ=ズリエール」の畑のブドウが6割、お馴染みランシエの畑のブドウが4割。アルコールは12%程度で、最終的には2013年、2014年のようなみずみずしい果実味と酸が特徴の、ヌーヴォーの醍醐味を楽しめる味わいに仕上がる予定。
◎ジャン・フォワヤール
醸造中の気温が高く、香りに異常が見られたため、今年はじめて※デレスタージュ(液抜き静置法)」を行い対処。今年は果実味がジューシーでエレガントな2014年や2016年のようなスタイルに仕上がる予定。
※果房の下のジュースをいったん全て抜いて、抜いたジュースを 4 ℃にまで冷やし、再び果房の上からかけ戻し、ジュースと果房の温度を下げて再びタンクに戻す手法
◎フレデリック・コサール&ケヴィン・デコンブ
熟度の早いレーニエに隣接する畑のブドウ7割、晩熟のマルシャン村のブドウ3割のブレンド。アルコールは12%~12.5%程度で、チャーミングな果実味とシャープな酸が特徴の透明感溢れる味わいに仕上がる予定。
11月21日の解禁まであと1ヶ月!
ピュアな果実味に溢れた「2019年最初の美味しい!」をどうぞ楽しみにお待ちください♪
【生産者のビデオメッセージをぜひご覧ください!】
【最新速報】
https://vinscoeur.co.jp/wp/wp-content/uploads/2019/10/747f9aff4a01010dd968feac75c36232.pdf
サンジョセフのモーヴの丘に佇む、ファビアン・ベルジュロン!
畑に置かれた杭に腰掛けている、ただそれだけですが、
まるで何かを悟ったように、まるで何かを伝えようとしているかのように、一種独特の空気感が漂っています。
ファビアンが見つめる先には、何があるのでしょうか?変わり行くブドウ畑の未来を案じ、それを憂いているかのようにも見えます。いや、ローヌ渓谷を一望するこのモーヴの丘の上で、プテウス・ヴィデレのラベルのように、「なるようになるさ」と呟いているのかもしれません。
ファビアンは2000年に畑作業専門の人材派遣会社「ラ・ターシュ」を立ち上げました。
ラ・ターシュはローヌ渓谷の崖のような急斜面に立ち向かう、屈強な男たちの集団により構成され、主に剪定や草むしり、芽掻き、畑散布、収穫など、トラクターが⼊られない急勾配の畑での⼿作業を請け負っています。(主なクライアントはジャン・ルイ・シャーヴ、ミッシェル・シャプティエ、ギガル、ポール・ジャブレなどの北ローヌの錚々たる顔ぶれです!)
その後2002年にカーヴ設立、2003年に1.2ha、2006年にはサンジョセフの一等地であるモーヴにあるギアミ1.5haの畑を手に入れ、ワイン造り部門を本格始動させていきました。弊社はその後間もない2007年ヴィンテージから取引を行っています。
そして2017年、ラ・ターシュは解体され、ファビアンは自身のワイン造りに集中するべく、ギアミ1.5haとともにラ・ターシュを後にし、ラ・ターシュ自体は100%人材派遣業専門となりました。ファビアンは現在はブドウを売って生計を立てていますが、2020年にはドメーヌを立ち上げ、ヴィニョロンとして再出発する予定です。ここからが彼の理想を追求したワイン造りの本番な訳ですが、なんだかとんでもないワインが出来る気がして、楽しみでなりません!
さて今回2年9ヶ月ぶりのリリースです。
ラ・ターシュでのワイン造りはこの2015年が最後とあって、特別大事に温めていました。
しかもブドウの成熟とバランスに恵まれたグレートヴィンテージ!なお更じっくり時間を掛けて、コンディションを整えてのリリースですから、味わいにグッとまとまりがあります。
◎プテウス・ヴィデレ2015
初リリースから毎年醗酵が途中で止まり・・・まさしくワイン名の「プテウス・ヴィデレ(なるようになるさ)」です。が、2015年はより慎重かつ入念に延べ3年半の熟成を経て、ペティアン瓶&王冠ですが、もう微塵も動かない(はず)です。
もはや努力と情熱のプテウス・ヴィデレ(なるようになるさ)ですが、甘酸っぱくミネラリーで少しシュワっとする、とってもたまらない仕上がりです♪もう1回造る事は恐らく不可能なレベルですが、危うくても時間を掛ければ辿り着ける境地があり、そこには心を引き込まれる世界があることを改めて感じさせてくれます。
◎サンジョセフ・ギアミ2015
サンジョセフのAOCが拡大される以前から、評価の高い銘醸コミューン、モーヴの区画内に「ギアミ」の畑はあります。2015年は、濃厚ながらしなやかな果実と鉱物的な骨格、細かいタンニンの収斂が長熟を予感させてくれます!まさに ラ・ターシュの 有終の美を飾るに相応しい端正でスケール感のある味わいに仕上がっています!
どちらのワインも時間を掛けていただけると、なお宜しいかと思います。
ラ・ターシュの最後のワインにどうぞご期待ください!