サンジョセフのモーヴの丘に佇む、ファビアン・ベルジュロン!
畑に置かれた杭に腰掛けている、ただそれだけですが、
まるで何かを悟ったように、まるで何かを伝えようとしているかのように、一種独特の空気感が漂っています。
ファビアンが見つめる先には、何があるのでしょうか?変わり行くブドウ畑の未来を案じ、それを憂いているかのようにも見えます。いや、ローヌ渓谷を一望するこのモーヴの丘の上で、プテウス・ヴィデレのラベルのように、「なるようになるさ」と呟いているのかもしれません。
ファビアンは2000年に畑作業専門の人材派遣会社「ラ・ターシュ」を立ち上げました。
ラ・ターシュはローヌ渓谷の崖のような急斜面に立ち向かう、屈強な男たちの集団により構成され、主に剪定や草むしり、芽掻き、畑散布、収穫など、トラクターが⼊られない急勾配の畑での⼿作業を請け負っています。(主なクライアントはジャン・ルイ・シャーヴ、ミッシェル・シャプティエ、ギガル、ポール・ジャブレなどの北ローヌの錚々たる顔ぶれです!)
その後2002年にカーヴ設立、2003年に1.2ha、2006年にはサンジョセフの一等地であるモーヴにあるギアミ1.5haの畑を手に入れ、ワイン造り部門を本格始動させていきました。弊社はその後間もない2007年ヴィンテージから取引を行っています。
そして2017年、ラ・ターシュは解体され、ファビアンは自身のワイン造りに集中するべく、ギアミ1.5haとともにラ・ターシュを後にし、ラ・ターシュ自体は100%人材派遣業専門となりました。ファビアンは現在はブドウを売って生計を立てていますが、2020年にはドメーヌを立ち上げ、ヴィニョロンとして再出発する予定です。ここからが彼の理想を追求したワイン造りの本番な訳ですが、なんだかとんでもないワインが出来る気がして、楽しみでなりません!
さて今回2年9ヶ月ぶりのリリースです。
ラ・ターシュでのワイン造りはこの2015年が最後とあって、特別大事に温めていました。
しかもブドウの成熟とバランスに恵まれたグレートヴィンテージ!なお更じっくり時間を掛けて、コンディションを整えてのリリースですから、味わいにグッとまとまりがあります。
◎プテウス・ヴィデレ2015
初リリースから毎年醗酵が途中で止まり・・・まさしくワイン名の「プテウス・ヴィデレ(なるようになるさ)」です。が、2015年はより慎重かつ入念に延べ3年半の熟成を経て、ペティアン瓶&王冠ですが、もう微塵も動かない(はず)です。
もはや努力と情熱のプテウス・ヴィデレ(なるようになるさ)ですが、甘酸っぱくミネラリーで少しシュワっとする、とってもたまらない仕上がりです♪もう1回造る事は恐らく不可能なレベルですが、危うくても時間を掛ければ辿り着ける境地があり、そこには心を引き込まれる世界があることを改めて感じさせてくれます。
◎サンジョセフ・ギアミ2015
サンジョセフのAOCが拡大される以前から、評価の高い銘醸コミューン、モーヴの区画内に「ギアミ」の畑はあります。2015年は、濃厚ながらしなやかな果実と鉱物的な骨格、細かいタンニンの収斂が長熟を予感させてくれます!まさに ラ・ターシュの 有終の美を飾るに相応しい端正でスケール感のある味わいに仕上がっています!
どちらのワインも時間を掛けていただけると、なお宜しいかと思います。
ラ・ターシュの最後のワインにどうぞご期待ください!